音楽家として初めてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランの曲で始まった回。
「音楽と言葉・文学」そのマリアージュがテーマです。
今回もすてきな音楽の世界を教えてもらいました!
ゲスト:又吉直樹さん(ピース)
作家業もされている又吉さんは今回のテーマにぴったり!
クラシックを特別聞いていたわけではなかったけど、クラシックだけが流れている喫茶店に通っていたそうで。
文豪っぽい!
愛理ちゃんの衣装
水彩っぽい総柄の長袖シャツワンピースでかわいい。
しゃらしゃらの生地も綺麗で、文学の回だから挿絵や表紙のようなデザインなのかなあ。美しい!
ウイスキーが、お好きでしょ
音楽と言葉ということで、最初に清塚さんが例に挙げたのは「ウイスキーが、お好きでしょ」
ウイスキーのアクセントと「お好きでしょ」という上品な言い方がメロディーだけで言っているように聞こえる。
たしかに言われてみれば!
これまで何も考えずに聴いていたくらい、しっくりだ。
宇多田ヒカルさんの歌詞
又吉さんは宇多田ヒカルさんの「初恋」が好きだそうで。
あの楽曲を聴くと初恋をした気持ちになるとお話していました。
歌詞だけでわからないことが曲もあることで腑に落ちることがあるけど、この曲は歌詞だけでも伝わるところにさらに音楽があって深みが増す。
同じく宇多田ヒカルさんの「Automatic」では、七回目のベルになったのは、まず音として「ナ」で始まる必要があった。そこから言葉がきたそうで。
七回も鳴っているっていうのはかけている側としては不安。音から意味を持つところへ広がっている。
クラシックと文学
バロック音楽時代は器楽に文学を持ち出すことは邪道だった。
文学的なアプローチは野暮だとされていた。
「物語性の力を借りるんじゃない!」という風潮があった。
1800年第くらいからロマン時代になりそれも変わっていく。
ベートーベンの交響曲第9番はシラーの詩をもってくることで新しい世界が拓けた。
シューベルトはミュラーの詩に感銘を受けて歌にし、シューマンはハイネの詩を歌にした。
文学の力を借りてまた音楽の幅が広がった。
これもまた知らなかった世界!おもしろい!
新しいことを知るのは本当におもしろい!
クラシックの大恩人 ゲーテ
詩人であり小説家であり劇作家、しかも学者でもあったらしい。多才……!
ゲーテが人生をかけて執筆した大作の「ファウスト」
あらすじがmicassoさんのイラストで紹介されたんだけど、めっちゃくちゃかわいい!
フランス革命が起きて個人の思いや権利を主張できる時代になり、今まではフタをしなければならなかった欲が出てきた。
全ての欲を満たしたい主人公とそれを叶えてくれるメフィストフェレスという悪魔が出てきて、人々はその結末が気になって読んだんだって。なるほど、これが予告で見た「悪魔ブーム」……!
鬼うまいっていう表現があっても、神うまいとは言わないじゃない?
清塚さんの口から「鬼うまい」って出てくると思わなかった!笑
清塚さんのおすすめはリストの作品
リストはファウストに憧れがあったそうで、清塚さんが演奏してくれました。
ピアノ・ソナタ ロ短調/リスト作曲
始まりが悪魔が歩いてきたかのようなメロディー。
清塚さんがこうやって始まるんだよって弾いてくれたのが本当に悪魔が近づいてきていて、そわそわというか、わくわくというか……!悪魔ブームの中にいた人たちが聴いたらたまらなかっただろうな~~。
ステージ衣装も少し悪魔っぽいものを着ていたらしい!その時代に生きていたら通いそう!笑
リストのピアノ・ソナタは30分くらいある大作なんだって。
スタジオではその一部を清塚さんが披露されていました。毎回のことだけど贅沢……。
メフィストフェレスが酒場で踊るシーンがあり、バイオリンが弾いているシーンはバイオリンの音をピアノで弾いちゃえ♪ということもやっていた。
その後も
- ショパンの「バラード第1番」
ショパンの祖国ポーランドは当時ロシアに支配されていた。独立の機運があるときに作曲されているので、勢いが感じられる。
静かなシーンやテンポの良いシーンがあって、読んだ感想を表現しているんだって! - シューマンの「子どもの情景」
大人が子どもの頃を懐かしむ、ノスタルジックなイメージを音で表現していた。シューマン自身が原作があるかのように作った。ショートショートのような作品。有名なところだとトロイメライ。
いろいろなアプローチで文学とお近づきになろうとしている時代だった。
フランス象徴主義
象徴主義での音楽は印象や感覚をとらえたもの。意味を断定的に伝えるというよりは漂う空気感を伝えたいという思いで作られたものが多いそう。
それはテキトーということではなくて、逆に言葉の意味をしっかりと理解できないこと。
音楽から詩人たちの富を取り戻す。
この時代、マラルメの「牧神の午後」という詩に感銘を受けたのがドビュッシー。
音を大事にし、詩の言葉そのものを音楽へ変えた。
これを受けた、又吉さんの作家さんとしてのコメントも興味深くて。
小説も読点を打つタイミングでリズムを取り主導する。走っている鼓動を表現したり。
文法に縛られずに、ニュアンスを伝えていくことをするんだって。
エンディング
ボブ・ディランが音楽家として初めてノーベル文学賞を受賞した。
文字ができる前から口承文芸があり、それの最たるものだと思う。
あなたたちがやっているのも文芸だと認められたかのよう。(又吉さん)
目でとるか、音でとるかの違いかもしれませんね
今週は清塚さんのピアノと又吉さんの朗読でおわかれ。
なんかすーっと心に入ってきて、泣きそうになった。
目を閉じて演奏されている清塚さんのお姿も音も沁みたぁぁ。
木曜の夜っていう、あと1日仕事が残っている日にしずかに音楽にふれるのはとても良い時間。この番組がずっと続いてほしいな。